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不思議に心に訴えるもの
絵画鑑賞はとても好きです。
小さいころから、家族四人で、美術館に出かけ、もの心つく前から、わけもわからず観ていた記憶があります。
今も、機会があれば出掛けますが、どうも見る際に、私にとって、2種類の絵があるような気が致します。
たとえば、モネの絵や、セザンヌの絵には、落ち着いた、心の豊かに優しくなれる美しさがあるように思います。
もしも、自分のリビングに飾るなら、迷わずモネの睡蓮を選びます。
ところが、佐伯祐三やモジリアーニの絵画には、違った美しさというか、違った惹かれ方をしている自分に気づきます。
彼らの絵には、心を揺さぶられる、心の琴線に触れる、そんな美しさを感じます。
確かにどちらも、素晴らしものなのですが、何ともいえぬ叫びのようなものを感じずにはいられないのです。
(えらそうに、すみません・・・)
わたしは、オリンピックの冬の競技の中では、フィギュアスケートがとても好きです。
スポーツの祭典といわれる括りの中で、あんなに表現力の問われる競技は、他に無い気がします。
昔、カタリーナ・ビットという選手がいらっしゃいました。
確かドイツの選手だったと思います。
その時、選んでみえたのは、ラヴェルのボレロ。
セビリアの酒場で、一人の踊り子が踊っています。
酒場はでは、みな酒に興じ、てんでに話し、踊り子の様子などおかまい無しです。
ところが、踊り子のその熱のある美しい舞に、みな心惹かれ、やがて最後には、拍手に溢れ、みなともに踊りだす。
そんなストーリーのこの曲は、父のレコードで何度も聞いた、馴染の曲でした。
カタリーナ・ビットのその時のスケートは、まさに私にとって、いつも聞いて、頭で想像していた「酒場の踊り子」そのもので、
その心を抉られるような感動は、今もまだ忘れていません。
さて、先日の男子のスケート。
小塚選手と高橋選手のスケートを見たとき、
モネとモジリアーニを思いました。
小塚選手のすべりは、そつがなく、まさに「美」そのものでした。
けれど、高橋選手のスケートは、見ているこちら側の、こころの琴線に触れる何かがあるようで、
その表現力には、やはり何度も挫折し、苦悩しつつ、復帰したという内側から溢れる何かが、私たちを魅了してやまないのかしら?と、思わず涙が出るほどでした。
「ただ美しい」だけでは無い、何かがあるように感じました。
それにしても、最近の日本人の選手の方々の表現力って素晴らしい。
これからが、ますます楽しみです(笑)