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十円でもおとしもの
長男が小さいころ、十円玉を拾ったと言いました。
「あのね。十円が落ちてて、駅前の交番のおまわりさんに届けたの。ありがとう、偉かったねぇって言ってた」
と言いました。
十円でもれっきとした落とし物。
小さな正義感溢れる紳士たちは、みなで駅前の交番に届けたのでしょう。
ちゃんと、礼儀正しく扱って下さったお巡りさんにも、お会いはしなかったけれど、感謝したのを覚えています。
さて、そんな紳士たちが、ある時拾ったのはオード・トワレ。
どこのブランドだったか忘れてしまいましたが、子供たちの説明によると、当時随分と流行になったものだったと思います。
「あのねぇ。帰りの(学校の)道で拾ったの。タッチたちと、交番に届けたほうがいいよって。それでねぇ。届けてきたの。」
「ふー。ん偉かったね。きっと、落とした人は、見つかったって喜んでるよ」と、わたし。
その時の息子は、家に帰って、その日の武勇伝を披露してくれたのですが、
息子の体はとても良い香りに包まれていました。
「ねぇ。それっていい匂いした?」と聞くと、「うん。ちょっとだけ、ちょっとだけさぁ。つけてみた・・」と、恥ずかしそうに話していました。
交番のお巡りさん。みんなでプンプン匂いをさせて、「落とし物です」と、差し出されたら、さそや笑いを堪えたろうな。。と、
出掛ける前に、自分のコロンをシュッとひと吹きさせながら、
あの時を思い出して、また一人笑いました。