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電話機 その2
2012.09.20

先日、黒い屈強な我が家の電話機のことを書きました。
黒いその紳士は、光沢のあるどっしりした風貌で、中央のダイヤルは、白い艶やかな陶器のように見えました。ダイヤルの周囲は金色の縁取りで装飾され、あたかも他の追従を許さぬかのように、我が家のキッチンのこれもまた年月ともに艶光りしだした柱の隣に鎮座していました。
当時は手紙の到着は今よりのもっと時間が掛かったし、メールも無い時代だったので、彼は割合自由に、いつと無く、リンリンと、いや凛々とその声を上げました。
ですから私も今ほど、「今、電話掛けてもいいかな?」と、考えなかった気がします。
そりゃあ、夜9時や10時を過ぎたら失礼かなとか、食事時は遠慮しようとか、そんな当たり前な配慮はありましたけれど。
ところが最近は、娘を含めてみな、電話の前に、
「いまから電話してもいい??」というメールがやってくるのです。
「いいよ。と返すのがひと手間やん。」
と、娘に言っては見たものの、最近は、今電話したら悪いかしら??とか考える私がいるのです。
私自身は、電話を頂くのを、何時は嫌とか、あまり気にしません。
いきなり尋ねられて、ピンポーーン。というのは、確かにちょっと困る気はしますが、電話なら、忙しくて、手が離せない時は、出なければ良いのですから。
それなのに、掛ける時は「今いい??」と思ってしまう自分がいるのです(涙)
今日も、久しぶりに掛けた知人の電話番号に、コール音を聞きながらドキドキしていた私です。
あの黒い紳士の時代は、時間がゆっくり流れていました。
今は、誰も彼も、忙しすぎる、さみしすぎるこのごろです(涙)