台風
2012.09.29

あしたは9月30日
かの伊勢湾台風と重なって、何となく不穏なものを感じる方も多いでしょう。
わたしは、世代が若干ずれていますけれど、伊勢に住むものとして、父母からの記憶は我がもののように重なって、やはり不安を感じます。
主人の里は、三重県の南、山に囲まれた大内山というところです。
今や「大内山ブランド」の牛乳と言えば、ご存知の方も多くなりました。
この大内山酪農の設立には、父の友人であり、今は亡き佐々木敏雄さんのご尽力無しにはあり得ません。
佐々木さんは、父と同じく、三重大学農学部(いまや生物資源)の前身三重高等農林学校の出身ですが、
佐々木さんは、大内山の勾配のある山の傾斜を利用した、放牧による酪農を提唱されました。
これが大内山酪農の前身です。
佐々木さんもまた、父と同じく、歴史に埋もれて行くひとりです。
さて、話がずれました。
大内山は、山に囲まれた静かなところで、最近まで「村」だったのですから、その自然の豊富さも頷けます。
主人が生まれた年の9月。その台風はやってきたそうです。
当時、主人の父である義父は、学校の教師でしたので、台風に備えて、小学校に待機していました。
主人の実家を守るのは、亡くなった祖父で、とうてい今までとは大きさの違う台風は、風を吹き上げ、雨を激しく降らせて、今も残る主人の実家の家屋を揺らし、叩いたと言います。
雨戸を立てて、雨風をいつものように塞いでいたけれど、あまりの強さと、家屋の古さに、祖父は、
「雨戸を開け放て。雨にぬれても、このままでは家が飛ぶ」と言ったそうです。
母屋は雨戸を開け放たれ、きっと風と雨が吹き抜けて、その後の始末は大変だったろうなあと思いますが、
それでも祖父の思い切った指示で、家屋の損壊が激しかった中、主人の実家はこと無きを経て、今に至っていると言います。(古いですよ。。直してあるけど)
主人曰く、
「覚えとるわ。それ、ちゃんと覚えとる」
私、
「そんな訳ないやん。あんた、生後一ヶ月やに」
主人、
「そやけど、覚えとるもん。あれをじいちゃんに指示したんは、実はわしやに。」
私、
「あっそ・・・」
小さい頃から何度も聞かされていると、自分の記憶のようになるというけれど、
主人のご幼少のみぎりの記憶は、本当だったらびっくりですよね(笑)
(生後一ヶ月の赤ちゃんが、母に抱かれながら祖父に指示する・・・まるでサイボーグやん)