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父の書棚
2013.04.18
春になって渡って来た鳥の声に、子供の頃のことを思い出します。
実家の古い家に引っ越した当初、私たちがあてがわれたのは、公園の木々が見渡せる出窓の付いた部屋で、
恐らく私たちの前は、大学の教授であられた元のかたの書斎だったのだろうと思われる部屋でした。
毎年決まって窓を叩く鳥は、ヒヨドリくらいの大きさで、桜のころにやってきて、パンパンとホバリングしながら窓を足で叩きます。
二年ほど見た気はしますが、やがてこなくなりました。
窓を開けてやればよかったなと、いまだに毎年思い出しては後悔です。
ちょうど、コジュケイの鳴き声高く聞こえる頃。
それがコジュケイだったかは、もう古い記憶で、私の頭の霧の中です。
父の書棚は、いまもまだそのまま残っています。
やがて、実家の裏側に、子供たちの為の新しい部屋が増築され、この部屋はその後ずっと父の書斎になりました。
小さいけれど日当りがよく、緑の森の見渡せる部屋には、ピアノとステレオと父の画材。
作り付けの書棚に、さまざまな本に混ざって「軍縮」という本が置かれていました。
軍縮は、今は亡き宇都宮徳馬氏が作られていた雑誌。
中身は子供だった私には判る由もありませんでしたが、何となく「戦争は愚かなもの」という趣旨は伝わっていた気がします。
昨日、国会の答弁で石原氏が声高に唱えた、憲法改正と核武装もありきというものには、驚きを通り越して、恐ろしさすら感じました。
「平和ぼけ」とよく言われるけれど、だからといって軍事費を増やして、核武装なんて、いったい私たちの子供たちの未来をどうするつもりなのでしょう。
書棚を見ると、その人なりが判る気がするわ。と、むすめがいつか偉そうなことを言って、思わず吹き出したことがあります。
とすると、石原さんの書棚はどうなっているのかなと、ちょっと不安に考えました。