What’s new Lila

自転車

2011.10.04

           わたしのお気に入りの自転車。後ろの日の丸は、年期の入ったピカール。

昔、NHK名画劇場というのがありました。
モノクロームの古い、古い映画を扱い、
望郷や、第三の男、チャップリンのライムライトもこの時間に初めて観ました。

母は、キッチンで後片付けだったり、自分の部屋で洋裁に没頭している時間。
わたしは、父と頭をそろえて並んで座り、映画を観ていました。

あるとき、
自転車泥棒という映画を観ました。
映画は、なんとも物悲しく、今あらためてあらすじを読んだだけでも、
もう目の前のPCの文字がかすんでいます(涙)
父がこの映画に思い入れが深かったのは、
戦後、物のない時代に、自転車が人々の、働く足を支える本当に大切なものであったから、
そんな自分の若き時代と重なったのかもしれません。

わたしがまだ、幼稚園だったころ、
神戸からこちらに引っ越して、いまの実家を見つけるまで、
私たち一家は、父の兄夫婦の2階に住んでいました。
わたしを幼稚園に届けるのも父の仕事で、
当時まだ車を持たなかった父は、自転車の前にわたしを乗せて、
幼稚園に走ってゆくのだそうです。
2階の窓から見ていると、わたしが泣いているのが見えたと母は言います。
幼稚園まで、伯父の家からは数分の距離で、
2階の窓からは、わたしが泣きながら、自転車から降りるのを拒む様子も見えたわと、母は言います(笑)
「ああ、そろそろ先生から電話が来るな」と、思っていたら、ベルが鳴って、
「泣き止まないから、迎えに来てください」って言われたのよ。
と、母は、今でも何度も言います。
「そんな記憶にないころの話、やめてくれる?」
と、わたしは抗議します。
「だいたい。。。。3歳から預ける?」と、また抗議します(笑)

さて、話がずれました。

そんなだったから、父は自転車を大切にしていました。
小学校の1年生になったとき、初めて自分の自転車を買ってもらいました。
ほかのみんなは、「すぐに大きくなるから」
と、わりあい車輪の大きなものに乗っていましたが、
わたしのは、「くみこは、体がちいさいから」と、
父が選んだのは、一年生の私の足にぴったりの自転車。

小さな自転車は、赤と黄色と黒のコンビ。
前かごは、プラスチック製の黄色いバスケットが付いていました。
バスケットは、ふたを閉めると、パチンと鍵がかかり、
それは可愛いものでした。
サドルの先端には、やはり黄色の房がぶら下がって、
走ると風に揺れて綺麗だったのを覚えています。

あるお天気の良い日曜日。
父は実家の前庭の、ヒマラヤスギのすぐ横に、自分と母、私の自転車を並べて言いました。
「いつも楽しい思いをしているから、ちゃんと磨いてあげるのも大切」

そして、丁寧に磨き方を教えてくれるのです。
当時妹はまだ幼稚園。
自分の自転車のない妹は、張り切ってみなを手伝っていました(笑)
それぞれ、使い古したタオルを一枚。
そこに「ピカール」という金属磨きをつけて磨きます。
スポークは一本ずつ丁寧に。
プラスティックは、ぬるま湯で絞ったタオルで丁寧に。

そうしてまた、次のお休みには、御山荘橋を渡って、街中に出掛けて行ったりするのです(笑)

さて、写真の自転車。
今はもうほとんど乗らなくなったのですが、
自分の自転車に対する愛着が、どうも強すぎるのか、
こうして磨くのが大好き。
もう20年ほど前に、気に入って買った自転車は、
今も捨てられず、我が家のオブジェになっています。
そして、いまもやはり、磨くのが趣味になったわたしは、
母から借りた年期物のピカールで、せっせと磨いているのです(笑)
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